マンションに自前でLANケーブルの隠蔽配線

マンションのインターネットがVDSLから光ファイバーに変更になったので、その機会にLANケーブルを自前で隠蔽配線した時の苦労話です。なぜ、LANケーブルを敷設?と思うかもしれません。基本WiFiを使っているのですが、一部屋コンクリートで囲まれた洋室Aがあり、WiFiがあまり届きません。なのでその部屋にLANケーブルを敷設することにしました。露出配線するのは見栄えが悪いので、隠蔽配線としました。最終的に敷設できましたが、かなり大変でしたので、その経験が少しは同じようなことをやろうとしている人の役に立つかなと思います。

我が家のマンションは築30年ぐらいのマンションです。リフォームを一度やっています。電話配線が各部屋に来ているので電話用のPF管を利用することにします。光ファイバーはキッチンに来ていますが、リビングの電話コンセントはリフォーム時にキッチンへ移設したので、リビング用の電話のPF管はキッチンの天井裏で切れていてキッチンの電話コンセントまで来ていません。なお、キッチンの天井照明を外して天井裏にアクセスできるようにしました。また、洋室Bの電話コンセントはリフォーム時に除去されていましたが、実はこのことに気づいていませんでした。電話線は各部屋ごとの回線をまとめて10線ほどのケーブルになっているので、ネットワークケーブルぐらいの太さがあります。電話線にネットワークケーブルを繋いで入れ替えることも考えましたが、電話線を引っ張ってもびくともしないので、諦めました。電話線は可能ならばそのまま残したいと思っていたのも理由です。

キッチンの天井裏のPF管には手が届かないので、反対側から通線できるか試してみます。部屋の配置から洋室Aから直接キッチンに繋がっていなさそうなので、和室の電話コンセントを開けてみると、二つPF管が見えていて、その電話コンセントを経由して電話線が二つのPF管に入っていっています。その一つにはなぜか針金も入っています。キッチンの天井裏にも針金が来ていたので、その針金が和室まで来ているのではないかと考えました。ネットで調べると通線用にそのような針金を入れることもあるようです。ですが、その針金を少し引っ張ってみましたが、びくともしません。いずれにしろ、その針金の入ったPF管はキッチンへ、もう一つは洋室Aへ行っていると想定しました。

以前、100均で買った針金があったので、針金を入れてみますが、途中で引っかかります。長さも足りそうもありません。本当はお金をかけたくなかったのですが、詰まってしまったりするのも嫌だったので通線ワイヤーを買ってみました。比較的安いものを買ったので少し心配だったのですが、すごく重宝しました。通線したい時には迷わず通線ワイヤーを買うべきです。空のPF管なら、ただの針金でも、もしかしたら、通線できるのかもしれませんが、すでに電話線が敷設されている場合は必須だと思います。

和室から通線ワイヤーを入れてみると、多分、電話線と針金が入っているせいで、途中でつっかえて入っていきません。先端の方向が変わるようにワイヤーをねじって(手元でワイヤーで輪を作ってその輪を回すようにするとワイヤーがねじれる)みたりするとなんとか通過できました。その後はスルスルと入っていきました。もしかしてキッチンの天井裏に出たのかなと思いましたが、出ていません。その代わりにリビングと洋室Bの間の梁でコツコツ音がしています。多分そこに通線ケーブルが出ているのでしょう。

これは、さすがにショックで隠蔽配線を諦めかけましたが、とりあえず、昔のリフォーム時に写真を調べてみました。すると洋室Bの電話コンセントの上の梁のところに二つPF管の穴があり、電話コンセント除去のために、そこで電話が結線されて二つの穴に繋がっている写真が見つかりました。

つまり、和室からキッチンにPF管は行っておらず、洋室Bに行っていたのです。

リフォーム時の他の写真をみると梁には空間がありそうなので、そのPF管にアクセスできそうです。少し躊躇いましたが、梁のところに穴を開けることにしました。修復のために大きめにクロスをはがし(再度これを貼ります)、その内側にドリルで穴を開けで、引き回しノコギリで穴を開けました。引き回しノコギリは持っていなかったので購入しました。幸運なことに、ほぼPF管のところに穴を開けことができて、通線ワイヤーが見えています。

まずは、洋室Bから和室までネットワークケーブルを通します。通線ワイヤーに付属の接続部材でネットワークケーブルを取り付けて(これが大失敗)和室側から引っ張ります。途中まではスルスルと進んだのですが、通線ワイヤーを入れた時につかえた場所と同じところでまたつっかえます。これがいくら引っ張っても進みません。それどころか押しても戻らなくなりました。何度も引っ張ったり押したりしていたら、指の皮がむけてしまいました。作業手袋は必須ですね。でも、このぐらい乱暴に扱っても通線ワイヤーが壊れることはなかったです。ある意味通線ワイヤーはすごい。

なお、通線ワイヤーに1メートル単位に目印をつけておくと必要なケーブルの長さが分かるだけでなく、どの辺で詰まっているかが分かるのでPF管の中の状況が判断しやすくなります。

ネットで調べてシリコンスプレーが通線に効くというのを見つけて早速シリコンスプレー三共コーポレーションGAシリコーンスプレー)を購入し、PF管に注入してみると、効果があり、つっかえを通過したのですが、その後、もう少しのところでネットワークケーブルが外れてしまいました。通線ケーブルとネットワークケーブルの取り付け部分の摩擦も減ったせいです。付属品を使っての接続は強くないようです。なお、シリコンスプレーが周囲にも飛んだようでフローリングがツルツルになり、転びそうで結構危なかったです。

さぁ、気を取り直して、もう一度やり直しです。和室側から通線ワイヤーを入れてリビングまで通します。付属の接続部品が大きすぎるのが原因だと判断したので、接続部品は使わずにテープを巻いてなるべく接続部分を小さくまとめました。和室側から引っ張ると今度はそれほどつっかえることなくネットワークケーブルを通線できました。通線ワイヤーの先端部分に段差があるので、その段差をテープで無くしてやるのもポイントのようです。

今度は洋室Bからキッチン天井裏への通線です。これは距離が短いので簡単だと思ったらさらに大変でした。洋室Bから和室にはネットワークケーブルがすでに通っているので、その一本のネットワークケーブルは洋室Bからキッチンへ通さないとなりません。ですが、キッチンの天井裏のPF管には手が届かないので、キッチンから通線ケーブルを通せません。そこで、洋室Bから通線ワイヤーを通すとキッチン天井裏へ出てきたので、そこにビニール紐(荷造り紐)を結びつけて、キッチンからリビングにビニール紐を通しました。それにネットワークケーブルを結びつけて、キッチン側から引っ張りましたが、途中で引っかかって、通りません。通線ケーブルよりもネットワークケーブルが太いので通線ケーブルは通ってもネットワークケーブルや接続部分はどうも通りにくいようです。なお、ビニール紐は強そうでいて、擦れたりすると徐々に傷んで切れてくるので、PF管に余裕がある場合を除き、ビニール紐は通線には基本使わない方が良いと思います。

一度ネットワークケーブルを抜いて、通線ワイヤーの先端にネットワークケーブルをつけて通線ワイヤーとネットワークケーブルを押して同時に通そうとしましたが、これが大きな失敗となり、途中で進みも戻りもしなくなってしまいました。通すために、洋室B側から針金を引っ張っていたりしたので、多分キッチン側の出口近くで針金と電話線、そしてネットワークケーブルが絡まって詰まっていると想定しました。

こうなると、洋室B側から押すのではなくキッチン側から詰まった針金や電話線を引っ張って伸ばして、詰まりを治すしかないと考えましたが、キッチン天井裏のPF管には手が届きません。もうすでに梁に穴を開けているので、PF管部分のキッチンの天井にも穴を開けることにしました。梁のところと同じように穴を開けて、PF管に刺さっている針金と電話線を引っ張ってみるとグニャグニャとなった電話線が出てきました。通線ケーブルに押されて電話線が詰まってしまったのでしょう。洋室B側から通線ケーブルを押すと、ついに通線ケーブルとネットワークケーブルがキッチン天井裏に出てきました!

結局のところ洋室Bとキッチンの間の通線は最初から天井に穴を開ければもっと簡単に通せたので、かなり遠回りした感じです。さらに、この穴を塞がなければならないのは面倒です。なお、以前のリフォームの写真の中に今回キッチンに開けた穴と同じところに電気工事の人が開けたと思われる穴が空いている写真を見つけました。プロといえども穴を開けないと作業できなかったのでしょうね。

次の和室から洋室Aへの通線は針金が入っていないからか特に問題なく、通線ワイヤーを用いネットワークケーブルを通せました。ということで無事に洋室Aから和室、洋室Bを通ってキッチンまでネットワークケーブルを通すことができました。残念ながらキッチン側を作業しているときは余裕がなくて穴を開けた写真がありません。左と中央が和室、キッチンにそれぞれつながっているケーブル、一番右は照明スイッチのケーブルです。

リフォーム中の写真にはPF管に針金がなかったので、多分電気屋さんが針金を入れたのだと思うのですが、通線用だったのでしょうか?びくともしなかったので、それを通線用に使えるとは考えられませんでした。