触ると簡単に割れてしまう8mmフィルムから映像データに復元できたわけですが、次回のために、または、もしかして試してみようと思っている人のため、改めて手順をまとめておきます。
さらには、気を付けるべき点や次回の改良点も加えておきます。
- 8mmフィルムを無水エタノールに浸した後、リールから固着した8mmフィルムを剥がす
- 無水エタノールには長時間浸して、フィルムに付着した固形成分を溶かしてしっかり落とす。
- 後々困らないように面倒であってもフィルムの順番は保持しておく。
- フィルムが割れることでフレームは欠損することになるが、連続フレーム中の1フレームの欠損は最終映像ではほとんど気にならないので、神経質になる必要はない。
- すべてのフィルムをリールから剥がすのではなく、少しづつ剥がしてはデジタル化までの作業を行った方が良い。次作業を行うことで前作業でどうすれば良いかが分かるので作業のコツが分かってくる。また、途中で挫折しても一部はデジタル化ができることになる。
- 無水エタノールによる手荒れ防止のためゴム手袋は使った方が良い。
- 熱をかけてフィルムを平坦にする
- 平坦化は必須である。平坦化していない場合には撮影時にガラスで挟むと確実に割れて、そのひび割れが映像のノイズとなる。
- アイロンでも可能だが、ラミネーターは複数同時に、しかも安定して平坦化できるので、かなり便利である。
- 平坦化したフィルムは温かいうちにノートなどに挟むとフィルムが平らのまま安定する。
- フィルムベースから剥がれた薄いエマルジョンベースのみのフィルムは平坦化後すぐに何かに挟まないと丸まってしまう。丸まってしまうと後々大変なので、撮影時に困るような折癖がついていない限り平坦化しない方が良いかもしれない。
- マクロ撮影ができるカメラを用意する
- マクロ撮影ができるデジカメ、または、マクロレンズが必須である。
- 撮影画像の歪みがないカメラが望ましいが、キャリブレーションすれば良いので後処理でなんとかなると思われる。なお、今回はキャリブレーションはしていない。
- 焦点距離や露出を指定できるカメラではない場合、撮影ごとにムラがでる可能性ある。
- 撮影用機材を用意する
- 光源、フィルムを挟む板ガラス、固定台が必要であるが、自作も可能である。今回は自作。
- 板ガラスは写真フレームのガラスなどが流用できる。
- フィルムを挟むガラスは大きい方が撮影効率が高い。
- 平坦化したフィルム断片を複数フレームごとに撮影する
- 複数フレームごとに撮影する。フレームが多いと撮影回数が減る半面、1フレームごとの画素数が減る。
- フィルム上の結晶が気になる場合には無水エタノールで拭けば取れる。
- ガラス上のフィルムを移動する時に、シャーペンの芯を出さずに、先端をフィルム上ではなく穴の部分に置いて、芯先をガラス上で滑らすことで、フィルムを傷つけずに確実に移動できる。
- 撮影が最も時間のかかる処理なので、あまり、神経質になりすぎない方が良い。
- 穴の部分まで露光して透明になっているフレームは後述のフレーム抽出ツールでは抽出できないので、穴の部分のみを黒く塗った上で撮影すればフレーム自動抽出がうまく動作するかもしれない。
- 撮影画像からフレームを抽出する
- 撮影画像からフレームを切り出して画像とする。これは手作業でも可能だが、時間的には手作業はほぼ不可能なので、自作したフレーム抽出ツールでフレームを自動抽出する。ご要望があれば公開する予定。
- フレーム画像から映像を生成する
- 保持していたフィルム断片の順番に従い静止画フレームから映像を生成する。今回は順番を保持していなかったのでツールは作成しなかったが、順番を基に自動で映像化するツールを作成することは容易である。
- 今回は順番を保持していなかったので、自作の半自動接続ツールである程度大まかに繋げたあと、Movie makerを使って手作業で映像を完成させた。
- 手振れ補正ツールでぶれを補正する
- 上記手順で生成した映像だとフレーム単位のぶれが酷いので、手振れ補正ツールでぶれを補正する。
いい加減に作成したものなので恥ずかしいのですが、自作した撮影台をお見せします。こんな簡単なものでも映像化できたので、きっと何かの参考になると思います。
そして、こちらが、平坦化して撮影し終えたフィルムです。きれいに平坦になっているのが分かると思います。